お砂糖ひとさじ

同性カップルの妊活の記録

両親への報告

 

やらなきゃいけないことは山ほどあったけど、まずは両親に会って、妊活についてきちんと伝えようと思った。

 

結婚式をキッカケに、父や母とはいろんなことを話すようになった気がする。

なんせ、奥さんとの関係も13年間ヒタ隠していたから、話すことはたくさんあったし。

 

勢いで帰省のチケットを予約したものの、内心はドキドキしていた。

同性カップルが子どもをもつことに関しては、セクマイ内でも賛否両論あるし、私たちにとっても未知の領域。

反対されたら悲しいな… そればかり考えてた。


でも、悲しくてもお腹は空くから、駅弁はちゃっかり買った。 心配で味もしなかった。
と言いたいとこだけど、しっかり美味しかった。

となりで奥さんもバクバク食って爆睡してたから、2人とも神経ゴン太くなったもんよ。


実家に到着して早々、タイミングを見計らうのに耐えきれなくなった私が話を切り出した。

 

2人の子どもを考えている。

とても信頼してる人がドナーを申し出てくれた。と。


両親はちょっとビックリしたみたいだったけど、どうやらそのビックリは『奥さんでなく、私が産もうとしている』ことに対してのようだった。

どんだけ母性がないと思われてんだか…


予想に反して、父も母も反対しなかった。


とくに母さんは「産んだ方がいいよ。私は産んでよかったと思うから。」と背中を押してくれた。


心配をかけている子どもだという自負はあるので、産んでよかったと思ってくれていることにホッとしたり。


母さんが客間にかけてある美人画を指して、

 

上村松園も当時としては珍しい未婚の母だったけど、母親や周囲の反対を押し切って子どもを産んだの。

その息子や孫は、のちに日本画の大家となり、数々の名作を残したから、彼女の決断がなかったら、それらはすべて、この世に存在していなかったんだね。」

と、ポツリと語っていたのが、印象的だった。

 


肩の荷が下りたところで、全員で高原までドライブした。

夏の暑い日だったのに、高原は別世界のように涼しくて。どこまでも澄んだ青空と雄大な山々を、家族みんなで眺めた。


世界中を敵に回しても、
最後まで自分の味方でいてくれる人の存在が、なんと大きいことか。

変わらない場所があるから、ギリギリの崖っぷちでも目を閉じて歩ける気がする。


もし縁があってジュニアに会えたら、私もそんな存在になりたいな。