お砂糖ひとさじ

同性カップルの妊活の記録

私は貝になりたくない

久しぶりの更新になってしまった。

 

妊活は奥さんにバトンタッチしてゆる〜く続けているけれど、子どもをもちたい同性カップルを取り巻く状況は、刻一刻と厳しくなっていくばかりだ。

私たちにタイムリミットがくるか、規制強化で強制終了か、どちらが早いかは分からない。

 

昨年、第三者精子卵子を使う生殖補助医療のルールの法制化に向け、 議員連盟がまとめた法案のたたき台の中で、 第三者提供での生殖補助医療が婚姻夫婦以外は制限され、 実施した者には罰則が課せられることが明記された。


この法案が施行されると、同性カップルは事実上 国内の病院での 人工受精・体外受精などの生殖補助医療がすべて受けられなくなる。


また特定生殖補助医療に用いられる精子卵子のあっせんも制限されるため、 日本での海外の精子バンクの利用も禁止される。

つまりは八方塞がりの状態。

 

少し前には、出産を控えたLカップルが病院に分娩を断られたことが話題になったけれど、これまでの流れを考えたら、当然そういう病院も出てくるだろう。

そもそも産科のトップが同性カップルの子育てに否定的であれば、普通に門前払いだ。

 

驚いたのは、これに対してSNS上で自称・産婦人科医や医療従事者などを含む多くの人たちが「そんなことはあり得ない。」と散々噛みついたこと。

本当に見えている世界がちがうのだな。

産婦人科不妊治療に行くのに、嘘をつくかプラス料金を支払うかしか選択肢がない側からしたら、なぜ「あり得ない」と思えるのかが不思議だ。

 

そもそも子どもを産み育てることについて、他人にそれを禁止されたり、認めてもらわなければいけないなんておかしい。

国や日産婦はその異常性に早く気づいてほしい。

 

 

 

ここ最近気になっているのは、TLにヘイトや差別を含む内容をよく見かけるようになったこと。

 

正しい理解が進んでいないとはいえ、実際に会ったことがあったり、繋がっていた人があっさりデマを信じて差別的なRTをするのを見ると、本当に悲しいし恐ろしい。

 

この人は私たちに自分と同じ権利を与える必要はないと思っていたのかと愕然とする。

 

人の平衡感覚はこんなにも脆い。

いつ私たちが「危険」と判断され、攻撃対象になるか分からない。

だからこそ法的保障が必要なのだろう。

マジョリティの倫理観なんて危ういものに頼って生きていけない。

 

若く無知だった私は、道徳の授業を受けながら、未来の自分が「法のもとの平等」から弾かれる日がくるとは夢にも思わなかった。

 

 

ゲイのカップルのあたたかな毎日を描いた「きのう何食べた」。昔から大好きな漫画だけど、最近は見るのが少し辛い。

 

美味しくて幸せそうな2人の日常を見ても、彼らが結婚できないことによる法的・社会的な不利益が頭をチラつく。

横にいる婚姻届けを国に提出すれば手厚く保護される異性カップルがステップアップしていく中、彼らはずっと彼らのまま。夫婦ですらない。

 

美味しいご飯を作って仲良く暮らしていればいいの?

 

私は嫌だ。

 

いつか配偶者の欄に奥さんの名前を書きたい。

いつか親戚に奥さんを紹介したい。

いつか職場の昼休みに、結婚記念日を祝った話をしたい。

いつか、もし縁があるのなら、2人で子育てをしてみたい。

いつか、隠れなくても闘わなくてもいい日がきてほしい。

 

いつか、たとえ、私たちが生きているうちには無理だとしても、未来を生きる人たちには2人で食卓を囲む以上の幸せを掴んでもらいたい。

 

だから私は、貝になりたくない。