決断のとき
奥さんと2人でこれからのことを話し合った。
ルーツや遺伝子のこと
可能性とリスクについて
妊活の終着点
私は最後にもう一度だけ同じ治療にトライしたいと伝えた。
それで私の妊活は終わり。
思えば長い不妊治療の中で、私が自ら治療を希望したのは これが初めてだった。
ようやく心と身体がリンクした気がする。
前回の結果をみても辛い思いをするのは分かっていたけれど、私は決着をつけたかった。
すべての可能性が消えそうな今、奥さんと子どもをもつことの尊さが、その奇跡の確率が、本当の意味で分かってきた。
ハル・ベリーがラジー賞(「最低」映画の表彰)を贈られたとき、感極まって涙ながらに謝辞を述べる演技を全力でやり切り、「よき敗者になれないものは、よき勝者にもなれないわ」ってスピーチしてたの思い出したわ。
恐怖に打ち勝ったわけではないけど、2人なら病める時も健やかなる時もどうにか進んでいけるかもしれない。
加えて、失意の底にいた我われに寄り添ってくれたドナーファミリーや、セクマイ妊活コミュニティの存在もとても心強かった。
終わるのは恐いことじゃない。
そう結論が出たので、私たちは前に進むことにした。