どちらが産むか
私が産むか、相手が産むか…それが問題だ。
なんせ両方とも産めるもんでね。
男女のカップルだったらあり得ないことが、問題になったりする。
でも、女性だって子ども産みたい人と、産みたくない人がいるよね。
奥さんは産みたい人。私は産みたくない人。
私が産みたくない理由は、ただ1つ。
絶対 死ぬほど痛い から。
だって生理痛だって悶絶するのに、それの何倍って考えただけで、貧血おこしそう。
無理無理ムリ。絶対ムリ。
生まれてこのかた、妊娠・出産なんて考えてみたこともなかったので、当然、奥さんが産むもんだと思ってた。
だから、奥さんが「君に産んで欲しい」と言ってきたときは仰天した。
なんで⁈ あんなに産みたがってたじゃん!と問いつめると…
「私は君の遺伝子をもった子を育ててみたい。」と、あまりにナナメ上な回答。
他にも、母親が養子で一族のつながりが希薄だから、とか、彼女なりの理由があったらしい。
子どもを産みたい人が、その権利を放棄するって、きっと並大抵のことじゃないのよ。
奥さんはずっと前から子どもを産んでみたいと言っていたから、このバトンの重みは計り知れない。
そして、推しの遺伝子を残したいという、謎のパッション…
その心意気と愛情をかって、私も腹を決めた。
そもそも、どちらかといえば私はLでもボーイッシュな方なので、出産とか子育てとか、あんまり興味なかったのね。奥さんがやるなら協力するけど、ってくらい。
そんな私の気が変わったのは、奥さんの断腸の決断にココロを動かされたのもあるし、なにより、今回、ドナーを申し出てくれた友人が、心から信頼し、尊敬できる人だったからだ。
もうこの人以上はいない、って思ったんだよね。
そして、そんな人たちと親戚になれるかもって考えたら、スゴくワクワクした。
そうは言っても、いきなり母性が芽生えるわけではなく、気持ち的には映画『ジュニア』のシュワちゃんに近い。
『ジュニア』(Junior)は1994年公開のコメディ映画。監督は『ゴースト・バスターズ』シリーズのアイヴァン・ライトマン、主演はアーノルド・シュワルツェネッガー。男性の科学者が実験によって妊娠するというストーリー。
(wikipediaより)
パパになるつもりがママだった…みたいな?