お砂糖ひとさじ

同性カップルの妊活の記録

果てしない旅

それから程なくして、季節は夏になり、

ディズニーではパイレーツ・サマーが始まった頃…

運命のコンパスに導かれ、

我われのブラックパール号は、進路を大きく変えることになる。

 

なんと、友人からドナー協力の話をいただいたのだ。

 

まさか、そんなことを言ってもらえると思ってもみなかったので、ポカンとしてしまった。

きっとたくさん話し合ってくれたのだろう。


その一言の重みを思うと、本当にただただありがたくて、愛しくて、胸がいっぱいになった。


四方を取り囲んでいた透明な壁が、音を立てて崩れ落ちていく感じ。

モノトーンで風化しかけたものが、息を吹き返した。

 

『ララランド』で最後に別々の道を選んだ2人が、「if」の未来を回想するシーン。

あのシーンのように、あるかもしれない未来が、ビビッドな走馬灯で見えたのだよね。


なんとも言い表しがたい、不思議な気分だった。

 

のちに分かったことだけど、

あの瞬間、奥さんも全く同じ気持ちを経験していたらしい。

 

同時に、心がストンと軽くなった。

子どもがいる/いないではなく、トライできないことが本当に悲しかったんだな。

いつか後悔するかもしれないことが怖かった。だから、わずかな可能性を与えてもらったことで、自由になれたのだと思う。

 

こうして、私たちの新しい冒険は急展開で始まったわけだけど…

本当はこれからのことを書こうか迷った。

どんな結末になるかが、分からないから。


ただ、旅の日記を懐かしいと思う日が、いつか来るんじゃないかな。結婚式のときみたいに。


考えなければいけないことは山盛りだけど、今はただ、挑戦するチャンスを与えられたことに感謝して、前へ進むのみ!