お砂糖ひとさじ

同性カップルの妊活の記録

What About Us

 

妊活をはじめて、世の中にこんな神さま頼りのことがあるのかと思った。

生命のパーセンテージはあっても絶対じゃない。もはやその采配は神の領域。

努力とか真摯な姿勢とか全く考慮されない。

信仰心とかないし、なんならカトリックとは折り合いの悪い私ですら、神さまに問いかけたくなる。

そのジャッジの基準は何なんだと。

 

いっそ手数がゼロならあきらめるのに、運が良いのか悪いのか、解決策が鼻先に舞い降りてくる。

神さまがいるのなら、一体 何がしたいのだろう。

 

今までのことが全て無駄だったとは思わない。

痛い目にも辛い目にもあったけど。

 

一生するつもりもなかった妊活をやってはじめて、子どもを好きになった。

 

別に嫌いだったわけじゃないし、『はじめてのおつかい』を見て涙するぐらいの人間性は持ち合わせていたけど、尊いと思ったことはなかった。

今回の妊活を経て、信じられないくらいの奇跡の確率と生命力でこの世に誕生した存在を、心から愛おしく感じたのだ。

おやおや、よくここまで来たのぅ。って目を細めたくなる気持ち。

私の中に好々爺が爆誕

 

お母さん という人種にも畏敬の念が生まれた。

だって不妊治療ですら失神するほど痛かったのだから、出産の痛みは想像を絶する。

世のお父さんたちは肝に免じたほうがいいと思う。死ぬほどの痛みに耐え、命をかけて自分の子を産んでもらうのが、どれほどのことなのか。

出産と同じ痛みを男性に与えるとショック死するらしいよ。

 

公園で小さい子を連れたお母さんを見かけると、よくぞ ご無事で。 と膝をついて深々と首を垂れる。心の中で。

電車で泣いてる赤ちゃんをあやす母親に絡むオッサンがいると、何やってんだ!相手は かの地獄から生還した覇王ぞ!!お前なんか指先ひとつで散るぞ!  と震えあがる。

金輪際「お母さん」には歯向かうことをやめようと心に誓った。

 

ほかにも世の不妊に悩む人たちが、こんなにも苦労して痛みを伴う高額の治療を受けていることを知った。

 

子どもが欲しいLGBTQとそれを阻む法律や産婦人科学会、政治家など様々な壁に直面した。

 

人生は限りあるものだから、辛いことも楽しいこともやらないよりはやった方がいいと思うけど、今回は結末が分からない。

 

 

最近、P!nkの「What About Us」を聴きながら何となく歌詞を調べたら、いまの心情にぴったりだった。

そう、私は問いかけたいのよ。

神さまとやらに。

 

私たちはどうなるの?