1回目のトライ
第1回目のトライの日。
ドナパパさんとママさんと私たちで、ランチしながらいろいろ話した。
前にも書いたけど、生まれた子どもとドナーファミリーの関わり方については、私自身はこだわりはないつもり。
できるだけドナパパさんとファミリーの想いに沿ってあげたいと思う。
自分の子どもとして関わってくれるのも嬉しい。
ただ、ドナーファミリーに大きな責任を背負わせるのはいかがなものなのか…
うーん、なかなか難しい問題だなぁ。
地図がないから、たくさん話し合うことが大事だと思う。
2人だけでなく、ドナーファミリーと協力して家族をつくっていくのは、とても不思議な感覚。
シリンジはネットで購入し、容器は煮沸消毒したものを用意した。
すっごくプライベートなことを、皆んなでワイワイやってる感じが、あまりにも非日常すぎて…
途中から何だか可笑しくて、笑えてきた。
パートナーとスキンシップをした方が着床率が上がると聞いたけど、2人とも笑い転げちゃってムードなかったわ〜。
こんなにアットホームな環境だって複雑な心境なのだから、病院で人工受精してる人はもっと大変なんだろうなぁ。
とても感情的なことを、淡々とやってる感じといいますか
とても自然なことを、人工的にやってる感じといいますか
まあ、変な感じ。
正直なところ、「赤ちゃんが産まれますように 」と、ハッピーな気分にはなれなかった。
単純な問題じゃないから、どちらに転んでも不安はある。
この足がすくむような感じ、前にもあった気がして記憶を辿ったら、7年前に上京したときの気持ちに似てる。
奥さんとの同居のために、安定した職場も家も捨てて、ふる里を離れる前の晩、家族とTVを見ながら、ふと不安になった。
本当にこれでいいのかなって。
あのときは家族にもカミングアウトしていなかったから、1人で大海を前に立ちすくんでいる気分だった。
新しいことに飛び込むときは、やっぱりちょっと怖い。
でも今回は、迷ってる自分を許すことにした。
どんなに悩んだって、正解は見つからないし、1人じゃない。
失敗することや、壁にブチ当たるのを恐れるのではなく、みんなで乗り越える方法を考えよう。
いろんなものに支えられて人は立っているのね。
はじめて真意が分かった気がするわ、金八先生。